長期任務が終わり久しぶりにホームに戻ってきた。
約1か月の間、一人での任務だったがそれがようやく終わり久しぶりの我が家。
重たい足を引きずりながら部屋まで戻り、無意識のうちにすぐにベッドへ直行していた。
目が覚めた時には日は随分と高い位置に上っていた。
「遅くまで寝ちゃってたなぁ。……お腹すいた。」
もうそろそろご飯を食べに行こう。
任務の報告書はまだ出来てないけど、腹が減ってはなんとやら。
まずは腹ごしらえをしてからでないと頭も働かない。
「何を食べよっかなぁ。」
簡単に着替えを行い食堂へ向かう。












「おはよー。ずいぶん遅い朝だねぇ。」
後ろからいきなり声かけられ振り返るとコムイさんがいた。
「コムイさん。なんだかお久しぶりです。」
「おかえり。ちゃん昨日任務から帰ってきたんだよねぇ。なんですぐに顔見せに来てくれなかったのさー。」
任務から帰ったのは確かに昨日だ。
昨日といっても日付をまたいでいたし、真夜中だったし、疲れていたから部屋へ直行してしまったのだ。
「すみません。」
「ずっと待ってたんだよー。せっかくちゃんが帰ってくるって報告が来たから、室長室に来てくれると思って待ってたのになぁ。」
心配してたんだよ?そう言って少し困ったような笑顔で顔を覗き込んでくる。
室長はいつも私たちの心配をしてくれる。
「なんだかホームについたらホッとしちゃって。報告書もこれから書いて持っていきますね。」
「そんなに急がなくていいよ。まだ疲れてるでしょ?報告書なんてもう少し休んでからで大丈夫だから。」
そう言ってコムイさんは頭をやさしく撫でてくれた。
「コムイさんも今起きたところですか?」
こんな中途半端な時間に珍しい。
ここの廊下の先にはは食堂しかない。となると室長もこれからご飯を食べに行くのだろう。
「いや、僕は徹夜で一睡もしてないよ。リーバー君がコーヒー入れてくれないから、自分でコーヒーを飲みに行こうと思って。」
仕事なんてやってられないよねぇ。リーバー君に内緒でこっそり抜けてきちゃった。
ケラケラと笑うその笑顔には薄らとクマができている。
―――コムイさんも疲れてるんだなぁ。
外に出てるから、あまりコムイさんの仕事についてはよくわからないけど。
実質ここのトップだし、みんなのことを気遣っている彼のことだ。本来の仕事以上に背負い込んでいるのだと思う。
だからこうしてみんなが彼の下で動いている。
私もそのうちの一人。ただの尊敬や信頼だけでなく、多分恋心まで抱いている。
なんとなく惹かれているというだけなので、本当に恋愛感情かは自分でもまだわからないけれど。








「あ、もしかしてこれからお昼かい?」
「お昼と言うか、朝ごはんというか……。」
「そっか。僕も休憩がてらお昼にしようかな。うん、そうしよう。」
一人で納得したように頷き、私の手をとる。
そしていたずらっ子のような笑顔で
「そうときまれば善は急げ。リーバー君に見つからないうちに行こうか。」
まったくこの上司は人の気も知らないでドキドキさせる。
室長に手を引かれ、食堂までのこのまっすぐな廊下を走っていく。






これは多分、恋心




(もう少し、今はこのままで)
(きっとこのドキドキは走り出したからだ。)