合宿からの帰り道。
無事に選考試合は終わり、マサキも選抜メンバーに選ばれることとなった。
「めでたいねぇ。幼馴染として鼻が高いよ。翼さんは当たり前に選ばれると思ってたけど、こうしてウチから3人も選ばれるとうれしいもんだね。」
「そうだな。まぁ、そんなもんじゃないのか。」
サラッとすごいこと言ったよ。
もう少し謙虚になれば面白いのに。
「とりあえず、おめでと。」
東京選抜。なんだか隣にいる彼がすごく遠い存在に思えてきて急に寂しさがこみ上げてくる。
その気持ちが伝わったのか、マサキに頭をかるくポンと叩かれた。
「でも、お前も一緒に行くんだろ?」
そういえばそうだ。私もこのまま選抜のマネージャーとして残ることになったと玲さんから話があったのだ。
断れる理由もなく、監督の綺麗な笑顔に頷いたことは言うまでもない。
「そうだけどさー、マネージャーと選手じゃ違うからね。」
選手として、実力を認められて選ばれているのは本当にすごいことだと思う。
そうやってみんなが認めてくれるものを持っているのは、素直にすごいと思うし、羨ましくも思う。
……ないもの強請りなのはわかってるけど。
「お前は俺らには持ってないものをもってるんだから、欲張るんじゃねぇよ。」
「何それ?」
私は至って普通だし、そんなもの持ってる覚えはない。
意味がわからない、といった顔をしているとククっと笑って前を行ってしまう。
「ちょっと笑ってないで教えてよ。」
結局、マサキはその意味を教えてくれないままその日は家に着いた。











(私の取り柄って……図々しさ、とか?)