調子良すぎて無敵艦隊なんて思ってたけど、結局は井の中の蛙なわけで。


















フットサルで出会った桜上水にまさか負けるとは思ってもみなくて
なんだかショックな気持ちと、何もしてあげることのできない自分に苛立ちを覚えた。
ベンチでタオルを頭にかけて顔を隠している翼さんに気の利いた言葉でも掛けてあげられれば良かったのに
何も思い浮かばなくて、ただただ、隣に座っていることしか出来なかった。
お疲れ様でしたでもなんでも言えればいいのに、何も言えなかった。
「……ありがと」
そう言って翼さんは行ってしまった。
自分の不甲斐なさと、試合に負けた悔しさが今更溢れ出てきて
一人ベンチで泣いている自分の姿は、きっと不格好だろう
「お前が泣いてどうするんだよ」
「泣けないマサキの分を代わりに泣いてあげてるんだから、感謝しなさいよ。」
あぁそうかい。とタオルを貸してくれるこの幼馴染は相変わらず無表情で。
クシャクシャと頭をなでてくれる、その大きな手はとても暖かかった。




結局4位という結果で大会も終わり、いつもの日々が戻ってきたころ
監督である玲さんから、重大発表がされた。
「東京選抜?」
「そう。正確に言うと東京選抜に入る選手の選考合宿に参加することになったのよ。」
素晴らしいことに飛葉中からは翼さん、マサキ、畑兄弟がエントリーしているとか。
「すごいですねぇ。やっぱり直樹が呼ばれないところがミソですよね。」
つっこみもせずにふふ、と綺麗に笑う監督に直樹がちょっと可哀相に感じてしまったのはほんの少し。
「でも貴女も一緒に行くんだからね。」
へ?
「よろしくね、マネージャーさん。」
そういって一段と綺麗に笑う監督に私は何も言えず、うなずくことしかできなかった。
(なんか監督の後ろに黒いオーラが見えた気がするのは……きっと気のせい。笑)